「神さまを待っている」畑野智美著
文房具メーカーで派遣社員として働いている水越愛は、部長に「正社員登用の件、無理になった」と告げられた。「3年後には正社員にすることを検討する」という約束だったのに、業績が悪化したのでダメになった。
ハローワークに行ったら、正社員を目指す愛に職員は「アルバイトや派遣でもいいんじゃないですか」と言う。失業保険の給付期間が終わっても転職先は見つからない。アパートの解約手続きをして、持って出られないものは捨て、赤いスーツケースに生活用品を詰め込み、愛はホームレスになった。漫画喫茶で寝泊まりしていると、同い年のマユが声をかけてきた。「出会い喫茶って、知らない?」
同級生に励まされながら貧困からの脱出を図る派遣女子の物語。
(文藝春秋 1600円+税)