「老衰死」は数年前に予測できる?

公開日: 更新日:

「これを見ると、BMIは亡くなる5年ほど前から落ちていき、2年ほど前になると不可逆的・加速度的に落ちていきます。最終的に『やせ』と判定される18・5をさらに下回る人が大多数です。食事も亡くなる1年くらい前から徐々に減っていき、8カ月前から目に見えて落ち、1日あたり600キロカロリーを切ってきます。水分も同じです。注目すべき点は、1200キロカロリーはこの年代の要介護高齢者が生きていく上で十分な栄養量にもかかわらず、食べても体重がどんどん減っていることです」

■BMI、食事量、水分量が不可逆的、加速度的に落ちていく

 食べたものが体重維持につながらないということは、「栄養が体格を一定に維持することにつながっていない」ということにほかならない。

 必要のない栄養や水分は体外に排出されると考えられる。だとすると、介護のもう一つの戦いである「排泄の援助」についても、自然に任せれば介護者の負担も変わるのではないかと推測できるのではないだろうか。

 介護の現場では「食べさせないと死んでしまう」という考えが支配的で、遠くの親戚が介護をしているお嫁さんに「おまえが食べさせないから亡くなった」などと非難することもあるという。

 このデータを見る限り、食べさせる努力をいつまで続けるべきか、食べさせる量はどのくらいが適当かなど、立ち止まって考え直す必要があるのではないか。

【連載】「多死社会」時代に死を学ぶ

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋