著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

10%が発症する脳転移 ベストの治療順序は定位放射→TKI

公開日: 更新日:

 1月にヒップホップグループのリーダーが肺がんで亡くなった時、脳転移についてお話ししました。今回は、がんの脳転移について、もう少し掘り下げてみましょう。

 なぜかというと、脳転移があっても延命できるようになり、脳の機能を守る治療法が求められるようになったためです。新規薬剤の登場で5年生きられる方も珍しくありません。登場前はせいぜい半年程度でしたから、治療はグンと進歩しているのです。

 がんになると、10人に1人が脳転移を起こします。脳転移を起こすがんのうち最も多いのが肺がんで46%、以下、乳がん15%、大腸がん6%と続きます。脳転移に関しては、肺がんが無視できません。その肺がんでは、特に肺腺がんというタイプが脳転移しやすいことが知られています。

 肺腺がんでは、53%がEGFRという上皮成長因子受容体の遺伝子に異常があり、脳転移のうち14%はEGFR変異が原因。海外では、EGFRの変異は17%ですから3倍超です。肺腺がんは、肺がん全体の6割を占めますから、日本は海外より脳転移を起こしやすい下地があります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁