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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

血圧測定 どちらでもいいという寛容な社会の方が住みやすい

公開日: 更新日:

 24時間の血圧を測ると90%の人は高血圧で治療をした方がいいかもしれないという研究結果があることを紹介しました。しかし現実に降圧薬を飲んでいる人は、70歳以上でも50%強に過ぎません。

 かなりの人は自身が高血圧であることを知らず、血圧が高いとわかっても放置しています。

 そうした現状を改善するために医師は、何とか血圧を測ったことがない人に血圧を測ってもらい、測った結果、血圧が高い人に治療をしてもらうという方向を考えるわけです。それはある面、選択肢を狭めるというデメリットがあります。「放置する選択肢はないでしょうか?」という人もいるかもしれません。

 そもそも、「国民全員が家庭用血圧計を常備し、毎日血圧を測り、高血圧となれば全員治療をする」という国で生活したいというような人は、むしろマイナーな気がします。多くの人は、測りたければ測ればいいし、測りたくなければ測らなくていいのではと考えるのではないでしょうか。また血圧が高いとしても、治療が嫌なら治療をしないという人も案外いるかもしれません。

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