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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

調査結果で使われる「統計学的に有意」とはどういうこと?

公開日: 更新日:

 母集団のある性質を知るために、そこから抽出した標本をもとに推定することはよく行われる統計学的手法です。国民健康・栄養調査はその典型です。日本人全員を調べられないので、一部の日本人から無作為に抽出した標本を用いて全体がどうなのかを推定します。

 その結果としてよく使われる「統計学的に有意」というのがどういうものなのか。ちょっと説明してみましょう。

 例えば、こうした標本調査を100回行ったとしましょう。100回行ったときに、何回喫煙率の減少が示される割合を推定します。このとき96回で減少が示されることが予想されるとき、つまり喫煙率が減らないとか増加する場合が4回で、5回未満のとき、統計学的に有意な減少という判断になります。この減少しない、増加するという結果が出る割合の推定値が危険率、その危険率がどの程度小さければという基準、すなわち100回のうち5回以内、100分の5、5%を有意水準と言います。

 なんだかよく分からないかもしれませんね。実際の計算式を、とも考えるのですが、計算式を見たところで皆さんが分からないばかりか、私も分かりませんから、それはやめにしましょう。ただ国民健康・栄養調査に記載された実際の喫煙率の減少に合わせて計算してみると、危険率は小数点以下18桁以上という極めて小さな数字で、統計学的に有意な減少です。11%から7%の減少という女性であっても危険率は小数点以下7桁という数字です。男女とも天文学的な回数で標本を抽出しても、ほぼ毎回減少するというデータが得られるというわけです。これは客観的と言っていい指標ではないでしょうか。

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