ED薬が効かない男性は3割も…注射で治療という選択肢が

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 EDの薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリスのPDE5阻害薬が有名だ。頼りにしている人も少なくないだろうが、3割はその薬が効かない。では、打つ手がないかというと、そうでもない。陰茎海綿体自己注射(ICI療法)があるのだ。この治療に詳しい帝京大医学部付属病院泌尿器科の木村将貴講師に聞いた。

「EDには、ストレスや不安、緊張などによる心因性と、勃起に関係する血管や神経などによる器質性に大きく分けられます。ICIが対象とするのは、PDE5阻害薬が効かない方、禁忌で服用できない方が中心。具体的には、前立腺がんの治療で勃起神経が障害された方と、糖尿病で陰茎の動脈硬化が進んだ方が重症化しやすい」

■パートナーの女性からも予約の電話が

 前立腺がんの罹患数は来年、約10万5000人と予測され、男性のがんのトップになるとみられている。糖尿病は、予備群を含めると2000万人だ。2つの病気が拡大すれば、ICIが必要になる人は増えると予想されている。

「当院でICIを導入した143人のうち、23%が糖尿病によるED、20%が前立腺がんや膀胱がんなどの影響でした。48%が原因不明の器質性EDで、4%が薬の服用が困難な方です。そんな重症例でも、一般に有効性は国内外の報告で7割以上。患者さんとパートナーの満足度は、8~9割に上ります」

 前立腺がんで手術を受けた男性は、手術前に勃起障害の説明を受けず、自分より随分若い女性と第二の人生をスタートしていただけに、ショックが大きかった。薬を飲んでもうまくいかず、あちこち探して、たどり着いたのが、木村医師の外来だった。

「単に勃起ができるかどうかだけでなく、ICIはパートナーとの良好な関係を維持する役割がとても大きい。パートナーの女性から、外来予約の電話がかかってくることもあります。北海道や九州から、はるばる東京の外来に来られる方は珍しくなく、皆さん、ほんと切実なのです」

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