新型コロナによる「血栓」…手術を行う選択肢も考えられる
まだまだ収束していない新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の研究が世界各国で進んでいます。最近、クローズアップされているのが「新型コロナウイルスが全身に血栓を生じさせる」という報告です。
「米国心臓病学会誌」では、静脈系でも動脈系でも、血管の炎症、血小板の活性化、内膜の障害と機能の低下、血流の滞りによる血栓症が死因に直結するという研究結果が掲載されました。
なぜ血栓ができるのかについては、まだはっきりしたことはわかっていませんが、血管内皮細胞に感染したウイルスが炎症を起こして血管を傷つけ、それを修復するために血栓ができるのではないかと考えられています。
また、生体防御反応によって播種性血管内凝固症候群(DIC)が起こるといわれています。多くの死者が出たイタリアでは、新型コロナウイルスの重症肺炎による死亡の原因は、新型コロナウイルス感染症に誘発されたDICのためという報告があるのです。
DICとは、全身の血管内で血液凝固反応が起こって微小血栓がたくさんできる病態です。血管に血栓が詰まって血液が十分に行き渡らなくなって臓器不全を招いたり、凝固過剰によって凝固因子と血小板が使い果たされ、結果として血栓を溶かす線溶という状態だけが残るために大量出血しやすくなります。