コロナ禍の熱中症の危機にどう対処すればいいのか

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マスクをすると自覚しないまま脱水状態に陥ってしまうリスクが

 超高齢社会の日本は“熱中症大国”。昨年の夏は熱中症によって7万1317人(消防庁集計)が救急搬送されている。コロナ対策のマスクが熱中症のリスクを高めるといわれているだけに、この夏はさらに熱中症の増加が心配されているのだ。新型コロナ感染と熱中症を同時に予防するにはどうすればいいのか。

■熱中症予防のためにマスクを外し体温調節

 厚生労働省が発表したこの夏の「熱中症予防行動」には、「暑さを避ける」「こまめに水分補給する」といった文言に「適宜マスクを外しましょう」が加わった。新型コロナ対策と熱中症対策には相反する部分があるのだ。熱中症予防に詳しい、「医療福祉センターさくら」の院長で、「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員長でもある服部益治医師もこう話す。

「人間は体温を一定に保つことで生命を維持しています。口や鼻で息をして熱を体の外に出し、体温を調節しているのです。マスクで顔を覆うと、熱が体の外に出にくくなり、体温が上昇してしまいます。これが熱中症対策によくないのです」

 マスクには、喉の乾燥を防ぐ効果があるが、これも意外な落とし穴になってしまうと言う。

「マスクをすることで、口の中の湿った状態が保たれるために、かえって喉の渇きを感じにくくなってしまいます。すると、自覚しないまま脱水状態に陥ってしまうリスクが高まるのです」

脱水状態を防ぐ4つの鉄則

 新型コロナ感染対策にマスクは必須のアイテム。しかし、そのマスクの着用によって体温が上昇しやすく、かつ喉の渇きにも気づきにくくなるということは、裏を返せば、この夏は例年以上に水分補給と体温調節の対策を意識しなければならないということだ。服部医師は、脱水状態になるのを防ぐポイントとして次の4つを挙げる。

①水分補給の基本は「水」である。

②喉が渇かなくても1時間ごとに100ccの水分補給を心がける。

③首のまわりや手のひらなど、血流が多い部位を冷やす。

④軽い運動で涼しいうちに汗をかく練習をし、暑さに体を慣れさせる。

 水分補給の基本は「水」というのは、コーヒーや緑茶、ビールなどの酒類は利尿作用によって脱水を促してしまうからである。また、日中は1時間ごとに100ccの水分補給が1つの目安。寝る前と起床時は200ccの水を飲んだ方がいいそうだ。

 次に、どうして血流の多い部位を冷やすのがいいのか。血液の温度が上昇し高体温状態になっているために起こるのが熱中症。高体温の状態が続くと死につながるので、そうならないようにするには、血流の多い部位を冷やすのが有効なのである。4番目の理由は、汗をうまくかけない人は熱中症になりやすい傾向があるからだ。

■水分補給だけでなく「体づくり」が大切

 水分補給と体温調節は熱中症対策のための両輪。だが、服部医師は、もっとも大切なことは「体づくり」だと言う。

「いくらこまめに水分を取ったり、体温が上昇しないように注意しても、土台の体が健康でなければ意味がありません。しかも今年はコロナ禍です。今のところ新型コロナには特効薬もワクチンもありません。感染対策のためにも体力(免疫力)の維持・向上が不可欠なのです」

 どうすればいいのだろうか。

「生活の基本、つまり、十分な睡眠と適度な運動、そして栄養バランスのとれた食事が何よりも大切です。例えば、食事の中で、免疫力の維持・向上のためにぜひ取っていただきたいのがバナナヨーグルトです」

バナナヨーグルトで熱中症と感染症のダブル対策!

 なぜ、バナナヨーグルトなのか。服部医師によれば、ヨーグルトとバナナを一緒に取るのには、合理的な理由がたくさんあるそうだ。

「ヨーグルトに含まれる乳酸菌とバナナの食物繊維が腸内環境を整えることで、免疫力の向上・維持につながるからです。また、自粛生活で筋力の衰えも懸念されるので、タンパク質を取れるのもいいですね。乳タンパクには、発汗を促して体に熱がこもりにくくしたり、水分を体内にとどめる働きもあるので、熱中症対策として十分な水分補給をしたうえで、ヨーグルトを摂取するといいと思います」

 一方、バナナには、ビタミンB群をはじめ、ビタミンC、マグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれている。

「乳酸菌を含むヨーグルトとビタミン・ミネラルが豊富なバナナを一緒に摂取することは、熱中症予防、夏バテ防止に最適だと考えられるのです」

 体づくりは1日や2日でできるものではなく日々の習慣が大切。この夏の熱中症対策の1つとして、毎日の食事にバナナヨーグルトを取り入れる習慣を続けてみようではないか。

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