なぜ、新型コロナの重症者や死者は男性の方が多いのか?

公開日: 更新日:

 逆に免疫応答が強いが故に、アレルギーなどの自己免疫疾患は女性の方が多いことがわかっています。なぜか。理由のひとつにX染色体不活性化機構が関係していると言われています。

 ヒトの体は37兆個の細胞で出来ていて、そのひとつひとつの細胞の中心に染色体があります。染色体は遺伝情報が詰まったDNAを折りたたんだもので、親から子に受け継がれる遺伝情報が収められています。染色体には常染色体と性染色体があり、父親から受け継がれるものと母親からのものが対になっていて、ヒトは23組(46本)あり、性染色体は1対(2本)あります。

 性染色体は性別に関わる染色体でX染色体とY染色体があり、通常は男性がXY、女性はXXです。このうちX染色体には自然免疫系遺伝子と獲得免疫系遺伝子が多数存在します。しかし、このままだと男性と女性、つまりオスとメスの間で遺伝子量が変わってしまいます。そこで、女性の2本あるX染色体のうち1本を不活性化する仕組みが備わっていて、これが先述したX染色体不活性化機構なのです。

 ところが、この機構には不完全なところがあり、結果として男性よりも女性の方が免疫に関する遺伝子が多く発現するために、女性は男性よりも感染症に強い半面、アレルギーが多いのではないか、と言われているのです。

(弘邦医院院長・林雅之)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い