寝る前に両足に違和感を感じたら…「糖尿病性神経障害」を疑う

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入浴時にフットマッサージを

 なかなか自覚しづらい糖尿病性神経障害ですが最もわかりやすいのは、夜寝る前やソファでくつろいでいるときの足の感覚です。両足の裏やつま先に違和感があれば、これを疑った方がいいでしょう。お風呂やシャワー時に足を積極的に触ってみる、フットケアをすることがとても大切です。触ったときにあまり触感がなかったり、つまんだりいつもより強く押したときに痛みを感じられなかったりすれば問題です。

 できたら、帰宅して靴と靴下を脱いだらそのままお風呂場で、足をせっけんできれいに洗う習慣をつけるといいでしょう。そのとき、自分の足をいたわりながら足の状態を観察することが大切です。もちろん、足が傷ついているのに何も感じない、という場合はすぐに医師に診てもらう必要があります。

 ご存じの方も多いでしょうが、糖尿病が進むと、爪切りで深爪した、家具に足をぶつけた、などちょっとした足のケガがもとで組織が壊死して足を切断する人がいます。この話をすると、一般の人は“ウソだろう、その程度の傷で”とおっしゃいますが本当です。

 そういう人は、糖尿病性神経障害が傷に自覚がないほど神経が弱っていることばかりに注目して、その背景にある血管の状態に考えが及ばず、傷の悪化が早くなることを忘れがちです。

 糖尿病の人は細小血管が詰まったり、消失して、末端の細胞に酸素や栄養が十分に送られていません。当然、細胞そのものが弱くなっています。傷を修復する材料も不足するので傷が回復しづらく、免疫組織も十分働けない状況にあるのです。

 神経障害は加齢によっても起こります。神経障害が加齢によるものなのか、それとも糖尿病によるものか、その区分がつきません。しかし、いずれにせよ、今後神経障害を患う人はますます増えていき、そのことは健康寿命に悪影響を与えることに間違いはありません。

 動物実験ではありますが、いま話題のGLP-1受容体作動薬を使うと、表皮内の神経密度が改善するという報告もあり、治療に関する研究も進んでいます。

 ですから、私たちはまず神経障害かどうかをいち早く知り、その手当てをすることです。そのためには、まず自身の足をいたわり、足と対話する時間を1日1度もって欲しいと思うのです。

▽神谷英紀(かみや・ひでき)愛知医科大学医学部内科学講座(糖尿病内科)教授。名古屋大学医学部卒。厚生連海南病院、名古屋大学医学部付属病院、米国ウエイン州立大学留学、名古屋大学大学院医学系研究科・糖尿病・内分泌内科学客員研究員などを経て2011年愛知医科大学医学部内科学講座(糖尿病内科)准教授。21年から現職。

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