肺がん治療の今(3)分子標的薬と免疫チェックポイント阻害剤で攻撃

公開日: 更新日:

 肺がんといっても、性質はそれぞれだ。その性質に合ったオーダーメードの治療ができれば、治療成績も向上する。難治性のがん、肺がんの治療成績が良くなっているのは、がん細胞の発生・増殖に関わる遺伝子変異を調べることができ、かつ、その遺伝子変異に応じた分子標的薬が開発されたことで、変異が生じている遺伝子に直接アプローチできるようになったからだ。

 さらに治療成績向上に大きな役割を果たしているのが、免疫チェックポイント阻害剤だ。岐阜県にある中部国際医療センター肺がん治療センター長の樋田豊明医師(呼吸器内科部長)が言う。

「本来はがん細胞を攻撃するT細胞にブレーキがかかり、がん細胞を認識できず攻撃しなくなっている。これを免疫チェックポイントというのですが、そのブレーキを外しT細胞ががん細胞を再び攻撃できるようにするのが、免疫チェックポイント阻害剤です」

 免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントが起こっている場合に効果を発揮する。そのため、肺がんと診断されると遺伝子変異の検査と併せて(前回参考)、T細胞にブレーキがかかっているか、免疫チェックポイントの有無を調べる検査が行われる。免疫チェックポイントがあれば、T細胞のブレーキを外す免疫チェックポイント阻害剤が使われるのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった