著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

前立腺がんの転移を特定するPSMA-PET検査は生存期間延長につながる

公開日: 更新日:

 新薬を開発するには莫大な資金が必要で、画期的な新薬が登場すると高額な薬価が問題になることが少なくありません。そこで、がんの専門医らでつくる「JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)」は、胃がん乳がんなど17のがんの治療費について実態調査を開始。そのうち前立腺がんについて速報値がまとまりました。

 対象は、全国38の医療機関で前立腺がんステージ4と診断された700人で、昨年3月までの1年間の1カ月あたりの医療費を調査。それによると、従来の薬を使った医療費は1万6383円でしたが、2015年以降に登場した新薬を使った医療費は27万2874~42万4746円に上昇していました。実に約17~26倍です。

 この治療はホルモン療法で、従来の薬はリュープリンに代表されるLH-RH製剤と抗アンドロゲン剤のカソデックスを併用するCAB療法。これに対して新しい薬はイクスタンジ、アーリーダ、ニュベクオが使われています。

 前立腺がんは男性ホルモンを材料に増殖するため、薬で男性ホルモンを低下させる治療は、いわばがんを“兵糧攻め”にします。しかし、それでは完治できず、やがてホルモン療法は効かなくなります。従来のCAB療法が効かなくなると、抗がん剤しかありませんでした。そこに新規のホルモン剤が登場したことは、抗がん剤に移行するまでの時間を稼ぐことができます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理