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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

前立腺がんの転移を特定するPSMA-PET検査は生存期間延長につながる

公開日: 更新日:

 前立腺がんの経過観察には、腫瘍マーカーのPSAをチェック。その数値が上昇しなければ転移や再発はほぼありませんが、上昇したら転移や再発の可能性を考えなければいけません。その転移や再発の部位を調べようと、MRIや骨シンチグラムなどの検査が行われますが、その検査では残念ながら場所を特定できないことが少なくないのです。

 ホルモン療法や抗がん剤は全身療法です。ホルモン剤にある程度頼らざるを得ないのは、部位を特定できない影響もあります。では、部位の特定は不可能かというと、そんなことはありません。PSMA-PET検査ならきれいに描出することができます。私もかかわる宇都宮セントラルクリニックには恐らく東日本で初めてその装置が導入され、私も効果を実感しています。

 転移の場所が分かって数が少なければ、定位放射線治療が可能です。定位放射線治療は保険が利き、ホルモン療法や抗がん剤のような重い副作用がなく、生存期間を延長。海外では根治治療を受けた人がPSA検査で再発が疑われると、PSMA-PET検査が推奨されます。

 日本では、PSMA-PET検査も保険が利きません。医療費の問題は治療だけでなく、検査にも及ぶため、早期の保険適用が望まれます。

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