著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

命を延ばす薬(2)心不全に対するβ遮断薬は1カ月半の延命効果

公開日: 更新日:

 また、臨床試験3件を統合解析した研究論文によれば、プラセボを服用した場合と比べて、β遮断薬を服用した場合では平均43.7日間の延命効果が示されました。この延命効果は3年間にわたる追跡調査を前提としたデータであり、実際の寿命に対して適用した場合には、より長い延命効果が期待できると考えられます。

 追跡調査の期間と延命効果が比例すると仮定するならば、30年間の治療で437日の延命効果が得られることになります。

 ただし、これは単純計算に基づく筆者の仮説であり、実際の延命日数については、生活習慣や心不全の病状などにより人によってさまざまだと考えられます。つまり、大きな延命効果が得られる場合もあれば、そうでない場合もあり得るということです。

 一方、近年では、心筋梗塞を発症したとしても心臓のポンプ機能が衰えていない状態であれば、β遮断薬で得られる延命効果が小さくなる可能性も報告されています。

 心筋梗塞に対する医療技術はこの30年ほどで大きく進歩しており、心筋梗塞後に心不全を発症するリスクも減少しています。

 外科手術の技術的な向上や心臓病の早期発見を可能とした診断技術の確立などによって、β遮断薬の見かけ上の有効性は相対的に減少しているといってもよいかもしれません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒