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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

梅宮アンナさんが吐露したがんの痛み…我慢すると寿命が縮む

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 どんながんであれ、早期は症状が見られませんが、手術後の痛みをはじめとする後遺症が少なからずあります。進行して痛みが出てきたら、当然、そのためのケアが必要です。

 ところが、日本では緩和ケアが十分に進んでいません。がんの痛みを取る医療用麻薬の使用量でみると、ドイツの10分の1以下で主要国では最下位レベルで、さらに減少傾向です。

 たとえば、がんで亡くなる90日前の医療用麻薬の適正使用量は、モルヒネ換算で5400ミリグラム。日本はわずか311ミリグラムで、17分の1に過ぎません。国立がん研究センターの調査によると、亡くなる1カ月前に「痛みがなく過ごせた」は47.2%でしたから、過半数は苦しみながら人生の幕を下ろすのです。

 抗がん剤単独で治療するグループと緩和ケアを併用したグループを比較すると、緩和ケアの併用グループは抗がん剤単独グループより生存期間が長い上、不安やうつ状態なども有意に少ないことが報告されています。痛みを我慢するのは無意味な上、生存期間を縮めてしまうのは、ダブルで損でしょう。

 どんな痛みも、我慢することはないのです。

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