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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

定年退職後の“健診スルー”でがんが進行するリスク…野村邦丸さんは1回も受けず

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 がんは一種の老化といえる病気で、加齢によって増えます。がんが死因に占める割合は、男性は65~74歳に4割ほど、女性は50~69歳に5割超です。男女共働きの時代ですから、男女とも定年前後がピークと重なります。最もがん検診が重要となるタイミングといえるでしょう。

 定年された方は「ま、いいか」くらいの軽い気持ちでがん検診をパスしているのかもしれませんが、“検診スルー”はよくありません。野村さんは幸い腎臓がんを手術で切除。仕事に復帰できましたが、検診の先延ばしでがんが進行するリスクがあるのです。

 製薬会社アストラゼネカの調査によると、肺がん検診を毎年受診していた人は早期診断率は74%でしたが、「受けたことがない」「2~5年に1回」は62%にとどまり、進行がんが増加。毎年受けない理由は「気になる症状がない」が最多の6割ですが、症状をキッカケに受診すると5割がステージ3でした。

 当たり前ですが、これが現実。定年退職した方は要注意です。

 横浜市は昨年、70歳以上を対象にしていたがん検診の無料化を65歳以上に引き下げました。横浜市の胃がん検診の受診率は65歳を機に下がり、70歳以上はさらに下がることを受けたものです。無料の対象は胃がんのほか、肺がん、大腸がん乳がん、子宮頚がん、前立腺がんの6つ。ほかの自治体が無料とは限りませんが、自己負担は数千円ほど。定年退職された方は自治体からの通知はがきをきちんとチェックすることも重要です。

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