(2)ほとんどの野菜に発がん物質は含まれている
しかし、野菜を食べると危険だということではない。エイムス博士も報告の中で「米国人は1日1.5グラムの殺虫物質や発がん物質を野菜から摂取している。しかし、少量なので危険性には意味がない」と断言している。実際、たくさん野菜を食べる人ほどがんにかかりにくいという疫学的な報告は山のようにあり、日本の国立がん研究センターも同様の報告を行っている。
野菜には発がん物質が入っているのに、たくさん食べる人にがんが少ない、というのは矛盾しているようだが、まず微量であることに加え、β-カロテンや食物繊維といった共存する物質が発がんを抑制していると考えられている。
自然は決して優しくないことは、私たちが食べ物を口にする前に煮たり焼いたり加熱調理することからも明らかだ、と長村教授は言う。
「調理の目的は、おいしく、食べやすくすること、消化・吸収をしやすくすることもありますが、食中毒防止のため殺菌したり、食品が持つ有害物質を無毒化したりすることにもあります」
例えば、お刺し身では食べられない魚でも、煮たり焼いたりすれば食べられる。また白インゲン豆にはレクチンと呼ばれるタンパク質があり、生で食べるとひどい消化器障害を起こすが、レクチンはタンパク質なので加熱すると活性を失い、食べてもまったく問題を起こさなくなる。健康に良いとされる大豆なども生で食べると人間は消化器障害を起こす。
「どんな食品もリスクゼロはありません。その中で食品添加物は、食品をより安全に、よりおいしくすることなどを目的に国が科学的に調査したうえで許可したものです。その意味で、食品添加物は条件を守って使用されている限りは安全といえるのです」=つづく