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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

感覚器と心臓(5)「難聴」がどれくらい進んだら補聴器の使用を検討するべきか

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 しかし、日本ではまだまだ補聴器の普及率が低いことが課題になっています。日本補聴器工業会の調査によると、日本における補聴器の普及率は15%で、55%のデンマーク、53%のイギリス、46%のフランス、44%のスイスといった欧米諸国と比べてかなり低い数値です。1台あたり平均15万円程度という高額な価格設定や、日常生活の不便さやストレスよりも「恥ずかしい」「面倒くさい」といったイメージが先行しているといえるでしょう。また、精密機器のために装着してすぐに快適な聴力が得られるという期待感が高く、ある程度の調整期間が必要な現状が日常の装用を妨げることにつながっているといいます。私が診療する高血圧患者さんでも疾患による適正血圧は個人差があって、内服調整に際して長いと半年くらいを要することもあるので、敏感な感覚器の調整にはしっくりと構えることも重要かと考えています。

 購入費や機器の進歩を遅滞なく使用可能とするために今後は、国のさらなる助成をはじめ、補聴器メーカーや販売店が一定期間は定額料金で補聴器を利用できるサブスクのような仕組みを導入するといった、より手軽に使える環境整備が必要ではないかと考えます。

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