感覚器と心臓(5)「難聴」がどれくらい進んだら補聴器の使用を検討するべきか
補聴器を使用する側、主に高齢者も、耳へのデバイス装着をもっと普通の行為として認める意識を持つことも大切です。今は電車の中を見回すと、若者を中心にイヤホンやヘッドホンを装着していない人の方が少ないといってもいいほどです。そんなイヤホンやヘッドホンに違和感のない世代が高齢になったとき、補聴器の使用もそれほど不自然ではなくなり、補聴器もさらに進化して、聞こえが悪くなったら補聴器を使うという流れが当たり前になる環境がつくられるかもしれません。
ただその前に、高齢世代でも、視力が落ちたらメガネをかけるように、聴力が衰えたら補聴器を使うという意識が普及すれば、健康寿命を延ばすことにつながるでしょう。
それと同時に、聴力を悪化させないような暮らしを心掛けることも大切です。近年、イヤホンやヘッドホンで大きな音を長時間聞き続けることで起こるヘッドホン難聴が問題視されているように、日常生活の中でも大きな音量にさらされる空間で長時間過ごさないように意識しましょう。たとえば、ゲーム機の音量が高いいわゆる遊技場のような環境に長居しないようにするとか、外的な不必要な音を避けることを心掛け、心臓病や認知症のリスクを上げ、生活習慣病の悪化につながる耳の金属疲労を予防するのです。