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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

感覚器と心臓(6)歯と口の健康維持は心臓病の予防にとって重要

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 通常、現代人の歯の数は乳歯が20本、親知らずを含めた永久歯は32本なのですが、近年は「先天性欠損歯」といわれる生まれつき歯が足りない人が増えているといいます。ですからなおさら、年を重ねても歯を失わないように口腔内環境を整えて、できる限り歯を残すことが重要なのです。

 口腔内ケアに取り組んでいても、高齢になって歯周組織や歯の支持組織の退行が進み、歯が抜けてしまう人は少なくありません。そうした場合、口腔内環境を整えたり、しっかり噛むことを維持するために、早い段階で治療を受けるなどして対策を講じたほうがよいと考えます。ただし、自分にとって最適な治療法をしっかり見極めてから決断することをおすすめします。

 先ほど触れた先天性欠損歯の人の場合は、矯正やマウスピース、入れ歯、ブリッジをはじめ、インプラント治療も一部で保険適用になります。しかし、歯周病などで歯が抜けてしまったという一般的な症例では、インプラントは保険適用外となり、自由診療になります。

 インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。入れ歯や差し歯に比べ、異物感や違和感がなく、自分の歯と同程度の噛む力を回復できるというメリットがあります。一方、大がかりな外科手術が必要になるうえ、自由診療なので費用の相場は1本あたり30万~40万円程度とされています。経済的に余裕があって、どうしても元々の歯と同程度の咀嚼力を取り戻したいという人ならば、インプラント治療を選択するのもいいでしょう。しかし、だからといってすぐに飛びつくのではなく、まずはしっかり吟味することが必要です。

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