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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

釜本邦茂さんは孫の指摘で判明…喉頭がんステージ1は放射線で声帯を温存

公開日: 更新日:

 釜本さんが孫娘に声の異常を指摘されたのは、まさに喉頭がんが早期発見される典型的なケースといえます。手術で全摘すると、声帯も摘出されるため、術後に声を失うリスクが高い。たとえがんが治っても、それでは生活の質が著しく損なわれるので、ステージ1の喉頭がんは声帯を温存できる放射線が選択されることが多い傾向です。

 治療中は粘膜の炎症でのどの痛みやのみ込みにくさ、声の出にくさなどがありますが、次第によくなります。落語家の林家木久扇さんも放射線治療が終わると、高座に復帰されているのがその証左でしょう。

 進行した喉頭がんは、抗がん剤と放射線を組み合わせる化学放射線療法で治療。これも声帯を温存できます。

 釜本さんは口腔白板症も指摘されていたとのことです。これは頬をはじめ口の粘膜や歯肉、舌などに見られる白い病変で、将来、がん化のリスクがあるといわれます。舌がんや歯肉がんなども歯科でチェックできますから、歯の定期検診のときは「口にがんの疑いはありませんか?」と尋ねることも大切です。

 きちんと歯磨きをすることはまた、食道や大腸、すい臓などのがんを減らすという報告もあります。定期的に歯科を受診することは、健康を守る基本のひとつです。

 釜本さんのご冥福をお祈りします。

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