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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

LUNA SEA真矢さんが発症…転移性の脳腫瘍は期待できる治療がある

公開日: 更新日:

 前述した通り、脳転移を起こすがんの数としては肺がんが多いのですが、このところ分子標的や免疫療法の進歩で大腸がんは生存期間が延びていて、それに伴って相対的に脳転移の数も増えています。

 がんの中には、EGFRという遺伝子の変異が関係しているものも知られています。その代表が肺がんの中でも、末梢にできる肺腺がんです。脳に転移したがんのうち3割はこの肺腺がん由来ですが、この場合、EGFR変異に伴う異常をブロックする薬剤(EGFR-TKI)がとても有効です。このタイプの肺がんが脳に転移したとき、EGFR-TKIを使うと、劇的に効いて5年を超えて長期生存するケースも増えています。

 大腸がんは原発巣が体のどこにあるかによって性質が異なることが分かってきました。右と左で治療成績が異なり、左の方が治りやすく、抗EGFR抗体薬が有効なのですが、前述のEGFR-TKIは大腸がんでの適応がなく、使えません。真矢さんも選択された放射線が治療の中心になります。

 脳転移の数が1~数個は定位放射線治療で、無数にあるときは全脳照射です。ただし、全脳照射は正常な部位へのダメージも避けられず、認知症のような症状が現れやすくなるのが問題となっていますから、なるべく少ないうちに定位放射線治療をすることが肝心。そのためには経過観察をきちんと続けることが大切です。

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