現在はワクチンの普及で重症例は大幅に減ったのですが、免疫は時間とともに低下するため、子供の頃に予防接種を受けていても成人期には抗体価が下がり、感染してしまう「大人の百日咳」が最近は問題となっているのです。大人の百日咳は、咳が長引くだけで発熱が目立たないため、風邪やぜんそくと誤解されやすく、実際には見逃される例も少なくありません。そして咳が長引くだけの大人の百日咳が、免疫の弱い赤ちゃんにうつると、命に関わる重症化につながります。
抗菌薬(マクロライド系)が有効ですが、発症初期に使わなければ効果は限定的です。次回も百日咳の症状や治療についてもう少しお話しします。