5年生存率8.5%の膵臓がんは診断後すぐに「遺伝子パネル検査」を実施すべき
がん遺伝子検査と聞くと、免疫チェックポイント阻害薬の適応を判断するMSI検査や、PARP阻害薬の適応を調べるBRCA1/2検査など、高額な薬の適応を調べるものと思われがちだ。
しかし、遺伝子変異によっては、一般的な鎮痛剤やコレステロール薬が役立つこともある。
「鎮痛剤であるアスピリンは、以前からがん細胞の増殖を抑えることが報告されていました。アスピリンが有効ながんの遺伝子変異が示唆されています。また、高脂血症薬であるスタチンが特定のがん遺伝子の働きを抑える報告もあります」
家族歴は遺伝子変異の予測指標とされるが、膵がん患者の中には家族歴がなくても遺伝性膵がんである場合が少なくない。その意味でも、がん遺伝子パネル検査は有効だ。
■日本では費用対効果がネックに
こうした背景から、米国国立総合がんネットワーク(NCCN)は、膵がん患者全例に家族歴の有無を問わず生殖細胞系列遺伝子検査を推奨。転移性の場合はがん遺伝子パネル検査を推奨している。