5年生存率8.5%の膵臓がんは診断後すぐに「遺伝子パネル検査」を実施すべき
「研究では、膵がんの10~20%が遺伝性である可能性が示されています。BRCA1/2、PALB2、CDKN2Aなどに問題がある例が多く、BRCA2変異を持つ患者は、プラチナ系抗がん剤やPARP阻害剤に反応しやすいことがわかっています。CDKN2A異常は25~70%の症例で見られ、CDK4/6阻害薬の効果も期待されています」
同様の論文は海外の医学雑誌でもいくつも取り上げられている。
日本でも国立がん研究センターなどの研究で、膵がん患者にも治療ターゲットとなる多くの遺伝子変異が見つかっており、標準治療前に包括的ゲノムプロファイル検査を行うことで治療選択肢が広がる可能性があると評価されている。
では、なぜ日本ではがん遺伝子パネル検査などのがん遺伝子検査が必ずしも普及していないのか? 日本では標準治療終了後か手術不能と確定してからでないと公的保険の対象にならない。検査の結果、適応薬が見つかっても、保険適用外ならば既存の薬であっても全額自己負担となる。そのため、効果的な治療が行われないケースも少なくない。