膀胱がんで「全摘」とならないために知っておきたい3つのポイント
ほかのがんでは、早期発見で完全切除すれば治療が完了するケースも少なくない。しかし膀胱がんは、早期であっても多くの場合、がん切除後に再発を繰り返す。膀胱内にBCG(ウシ型弱毒結核菌)を注入するBCG療法は、その再発予防のために行われる手段のひとつだ。
BCGは結核予防ワクチン。膀胱内の免疫反応を活性化させ、がん細胞を攻撃して排除する作用があると考えられている。ただし強い副作用もあり、ひどい膀胱炎になって中断せざるを得ない患者も少なくない。
「しかしBCG療法を施行しても早期に膀胱がんが再発すると膀胱全摘がマストとなります。現段階では再発リスクの高い筋層非浸潤性膀胱がんに対してBCG以外に膀胱を温存する手だてがなく、抗生剤や鎮痛剤を使ったり、BCGの量を調整したりするなどして、完遂率を高めるようにします」
実は、アメリカではBCG療法が奏功しなかった患者に対して行われる3カ月に1回投与の遺伝子治療薬がすでに承認され、臨床現場で使われている。
日本でも薬の製造販売承認が申請中だ。もしこの薬が使われるようになったら、BCGに抵抗を示す筋層非浸潤性膀胱がん治療に対して膀胱全摘を回避する手段となる可能性がある。