「気持ち悪い虫に刺されたな」キャンプ後に痛痒さを感じたが放置した男性は…ツツガムシ病の危険性
■虫刺されの部分に黒いかさぶたを伴う場合は…
ツツガムシ病とは、ダニの幼虫(ツツガムシ)を介してOrientia tsutsugamushiというリケッチア属の細菌が体内に入る感染症です。媒介ダニは野ネズミなどに寄生し、日本を含むアジア太平洋地域に広く分布しています。感染後10日ほどの潜伏期を経て、突然の高熱・悪寒・頭痛・リンパ節腫脹が起こり、通常は「黒いかさぶたを伴う刺し口」に発疹が出現します。放置すると肺炎や脳症、心筋炎などを合併し、命に関わることもあります。
診断は臨床症状(発熱・発疹・刺し口)に加え、血液検査等で確定します。特に、「キャンプや登山に行った」という生活歴を医師に伝えることが診断の大きな手がかりになります。
治療はドキシサイクリンという抗生剤が第一選択で、投与後36時間以内に解熱が始まるのが典型的であり、投与後の回復は速やかです。
ツツガムシ病は、自然の中で誰にでも起こり得る病気です。大切なのは「虫に刺されないこと」、そして 「刺された後の変化に気づくこと」です。