「三尖弁閉鎖不全」に対するカテーテル治療の期待と課題
先ほど触れたように、三尖弁閉鎖不全による逆流でフレイルやサルコペニアを招く悪循環に陥ると、薬がなかなか効かなくなってくるうえ、ある程度進行した段階になると手術を行ってもあまり改善が望めなくなります。今回登場したカテーテル治療用デバイスは、そうした状況を大きく打開する期待をかけられているのです。
フレイルやサルコペニアの傾向が表れている患者さんが、レントゲン検査で少し心臓が大きくなっていることがわかったり、心臓エコー検査で三尖弁の逆流が見られるなどした場合、ある程度早めの段階で三尖弁の逆流に対するカテーテル治療を実施して逆流を止めるように介入すれば、グッと良くなってフレイルやサルコペニアを食い止められる--。長く患者さんを診てきて、そんな確信を持っている医療者たちが今回のようなデバイスの開発を進めてきたのでしょう。私もそうした治療の方向性は正しいと考えています。
三尖弁をクリップで留めるカテーテル治療は静脈から挿入するため、負担が少なく入院期間は短くて済むうえ、万が一、手技中に血栓が生じても、右心系なので脳の血管に移動して脳梗塞を起こすリスクもほとんどありません。ですから、ローリスク・ハイリターンな治療といえるでしょう。


















