3月末に晴れて「寛解」…弁護士の郷原信郎さん悪性リンパ腫との闘いを振り返る

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妻がセカンドオピニオンを提案してくれた

 その頃、悪性リンパ腫の組織検査の結果がわかりました。主治医から「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」で「CD5陽性」と告げられました。この「CD5陽性」は、神経を通って脳にリンパ腫が飛ぶ可能性が高い予後不良の要素で、3回目の抗がん剤治療から免疫力(白血球値)をギリギリまで下げてがんを叩く特別な治療を行うため8カ月程度の入院が必要というのです。それを聞いたときには立ち上がる力もなくなるくらいに打ちのめされました。

 そういう私に、妻がセカンドオピニオンを提案してくれました。2回目までの抗がん剤でかなり効果があったこともあり、「本当にその治療を受けなければいけないのか聞いてみましょう」と、悪性リンパ腫の専門家である国立がん研究センターの伊豆津先生の予約を取ってくれたのです。

 セカンドオピニオンを受けたところ、がんセンターではその治療法はあまりに身体への負担が大きいので70歳以上の高齢者には用いていないとのことで、効果が出た2回目までの抗がん剤を継続することを勧めてくれました。

 その頃、最大の問題は、合併症でした。ICUでカテーテルを挿入していた部分が黄色ブドウ球菌に感染してしまい、動脈瘤ができて血管が今にも破裂しそうになっていました。抗がん剤の免疫抑制期間が終わるまでは手術ができなかったのでヒヤヒヤしましたが、セカンドオピニオンの直前に、全身麻酔で左手首の動脈を切除する手術もしました。なので、私の左手首の親指側には血管はありません。でも、小指側の動脈で血流は確保できるので手指は問題なく動かせますよ(笑)。

 その手術も無事終わり3回目以降の抗がん剤治療は通院となりました。

 退院してからは、副作用との闘いでした。主に手足のしびれと味覚障害です。手指の感覚は膜をかぶったようでキーボードも打てませんでした。足の裏は常に丸い石の上を歩いているようで転びそうになる感じ。食べ物は、和食のような繊細な味ほど変な苦みを感じるのです。

 でも、もう味覚は戻り、手足のしびれも少し残っている程度。この3月末には晴れて「寛解」となり、あとは3カ月に1度の経過観察になりました。

 私の悪性リンパ腫は急激に増殖して腎臓や肝臓にも及びましたが、抗がん剤はリンパ腫が増殖するところを叩くそうです。急激に増殖する悪性度が高いがんだった分、逆に一気に叩けたようです。でも、1日でも治療が遅れていたら危なかった。その運が、私をこの世につないでくれたと思っています。

(聞き手=松永詠美子)

▽郷原信郎(ごうはら・のぶお) 1955年、島根県出身。80年に司法試験に合格し、83年に検事任官。2006年退官、08年に「郷原総合法律事務所(現・郷原総合コンプライアンス法律事務所)」を開設した。多くの企業の第三者委員会に携わり、メディアにも出演。「法が招いた政治不信~裏金・検察不祥事・SNS選挙問題の核心」(KADOKAWA)など著書多数。

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