世界初の「低侵襲冠動脈バイパス術」は開胸手術を不要にするのか
心室中隔の貫通は、動脈血と静脈血が混ざり合う「短絡」が起こるため、本来なら手術中のトラブルに該当しますが、VECTOR法は意図的に短絡させて血流を確保するという発想の治療法といえるでしょう。
今回、VECTOR法を実施した67歳の男性患者は、手術から6カ月経過後も、動脈の詰まりに起因する心臓トラブルは一切認められなかったといいます。
■あくまでもTAVIの補助療法
もしこれが日本であれば、67歳という患者さんの年齢を考えると、開胸による再手術で大動脈弁の再置換が検討されたはずです。ただ、この男性は、たとえば腎臓や肺といったほかのところにもさまざまなトラブルを抱えていたり、全身麻酔をかけられないなどの理由があったため、VECTOR法が選ばれたのでしょう。
これまでなら手術中のトラブルとみなされ、治療が中止される状況を逆に応用して血流確保に成功したわけですから、画期的とはいえます。ただ、あくまで緊急避難的なTAVIの補助療法ともいえるので、それほど広まらないのではないかと考えます。


















