著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「自分の問題」となると、なぜうまく対処できない?

公開日: 更新日:

 前者の被験者のケースでは、「自分が裏切られた」と考えるよりも「親友が裏切られた」と考えたときの方が、自分の知識の限界を素直に認めたり、相手の立場に立って考えたり、妥協点を探ったりといった「賢い考え方」ができる人が多いことが分かりました。

 まさしく、他人の問題には賢くアドバイスできるのに、いざ自分の問題となるとうまく対処できない──。こうした現象を「ソロモンのパラドックス」と呼び、人間は他人のことの方が賢く考えられる生き物だと研究ではうたっています。 

 興味深いのは後者のケースです。

 後者は、実際に恋人と付き合っている被験者を対象に行っていますから、“自分たちの問題”です。ところが、「第三者の視点(客観的)」で他人事のように振り返った被験者は、親友の問題について考える先の実験と同じくらい賢く考えられるようになることが分かったといいます。自分から距離を置くと、賢く考えることができやすくなるというわけです。 

「賢さ」とは、性格ではなく、状況で変わるということ。多くの人は賢さを、その人の生まれつきの性格や才能だと思っていますが、実際には「そのときの状況」や「心理的な距離を置いて客観視できるかどうか」によって大きく変わることが、この研究では示されています。

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