広東名菜「赤坂璃宮」オーナーシェフ・譚彦彬さんの巻<1>
タテルヨシノ(銀座)
■火入れ抜群「サーモンミーキュイ」は人生で最もおいしい
吉野さんは、皆さんおなじみのミシュラン1つ星店のシェフ。吉野さんのお店も私の店も銀座にあってアクセスしやすいので、よくお邪魔しています。もちろん、味は抜群ですよ。
ディナーでの目当ては「テート ドゥ コション ソーストルテュ」。豚の頭を煮込んだ料理です。首や皮、頬、舌、耳など部位によって軟らかかったり、コリッとしたりして食感の違いが面白い。何より味が複雑なんです。ほのかな酸味とスパイスが、脂分を軽くするのでしょう。コッテリした部位もあるのに、食感が軽い。
日本で豚をよく食べる沖縄では、鳴き声以外はすべて余すことなく口にするといいます。まさにあれに近いイメージの料理です。中国でも、豚は肉の部分だけでなくよく使いますが、フレンチであの食べ方と後味は意外です。フレンチでありながら、フレンチらしくない。そこが面白い。
もうひとつのお気に入りが、「サーモンミーキュイ ステラマリス風」です。とにかくすごいのは火の入れ方ね。しっとりしたサーモンの風味を引き立てる火加減は抜群。正直、人生で食べたサーモンの中で最もおいしい料理です。そう断言できます。