“エレベーター付”とネタになる「大阪城天守閣」が重文に 指定の背景を読み解くと、コンクリート造りがその価値を高めていた
セ・リーグを連覇したタイガースの名称にも影響
ところで、大阪城天守閣の上部には“虎”のレリーフが設置されている。これは、「大坂夏の陣図屏風」に描かれていたものを参考にデザインされたと思われる。諸説あるものの、この虎が1936年に結成された「大阪タイガース」、現在の「阪神タイガース」の球団名の元になったといわれている。
奇しくも、今年は阪神タイガースがセリーグを初めて連覇した記念すべき年だ。そんな年に大阪城天守閣が重要文化財になるとは、喜ばしい出来事ではないだろうか。
このように、大阪城天守閣は単なる復興天守という枠を超え、大阪の、そして日本の文化に多大な影響を与えたのである。重要文化財指定は当然と言っていいだろう。
■昭和に再建された天守の再評価が進む
大阪城天守閣の重要文化財指定は画期的なことだと思う。今後、昭和時代の天守の魅力と価値が見直され、“偽物”ではなく“魅力的な建築”として見直しが進むことを期待したい。そこで、これから重要文化財に指定されそうな城もチェックしてみよう。
たとえば郡上八幡城の天守は1933(昭和8)年に、伊賀上野城の天守は1935(昭和10)年にそれぞれ“木造”で再建されている。鉄骨鉄筋コンクリート造の大阪城天守閣とは一味違う価値があるといえ、これらもゆくゆくは重要文化財に指定される可能性が高そうである。
また、現在、戦後に建てられた天守は老朽化が進んでおり、取り壊しか木造での再建が検討されている。ところが、名古屋城や広島城、小田原城などの天守はすでに築50年をゆうに超えているのだ。重要文化財は原則、築50年経ったものから選ばれるため、これらの復興天守も文化財になる資格を有している。
いずれも、地域の人々の寄付金を使って建てられたものが多い。長年地域のシンボルとして愛された建築を、安易に建て替えてしまってもいいのだろうか。様々な観点から議論が行われるべきであろう。
熊本地震に伴う復興事業が行われている熊本城の宇土櫓は、修理と調査が並行して行われているようだが、その成果次第では天守を除く櫓では初の国宝になる可能性も高いとされる。今後も城の文化財指定の動向から目が離せなくなっている。
(文=山内貴範)
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