著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

欲のない純粋なテレビマンは「商業五輪」を強く批判した

公開日: 更新日:

 昏睡状態の坂井の顔を見るなり、大声で叫んだ。

「坂井さん、何でこんなところで寝てんだ。この酔っぱらい。起きろ、起きろ、起きろ!」

 それに呼応するかのように、坂井の手足が動いた。

 大小原は再び叫んだ。

「坂井さん、聖火台はもうすぐだ。ガンバレ!」

 大小原は見た。病床の坂井がトーチを手に聖火台を目指す姿を……。

 それから半年後の9月10日。坂井義則は眠るように逝った。戒名は「聖則院昭友日義居士」――。

(次回は「64年東京五輪女子バレーボール金メダルの河西昌枝」)

▽さかい・よしのり(東京オリンピック、最終聖火ランナー) 1945年広島県生まれ。66年アジア大会陸上400メートル銀メダル、1600メートルリレー金メダル。68年フジテレビに入社し、報道部とスポーツ部に37年在籍。主にスポーツ番組を手がける。

【連載】東京五輪への鎮魂歌 消えたオリンピアン

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒