東京五輪「試合クラスター」に現実味…サッカー南ア代表コロナ問題は最悪事態への序曲

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 “コロナ五輪”に、早くも混乱が生じている。

 7月23日の開会式に先立ち、あす22日にスタートする男子サッカーの南アフリカ代表から3人の新型コロナウイルス陽性者が出たことが判明。19日には、同代表内の21人が濃厚接触者に認定された、と東京五輪組織委員会が発表した。20日には濃厚接触者は18人と修正された。

■組織委の隠蔽体質

 南アフリカは、22日の1次リーグ初戦で日本代表が戦う相手。試合実施の可否も含めて関係者は対応に右往左往したが、問題はこれが男子サッカーだけの話で収まらないことだ。

「今回のケースでは、南アフリカ代表側が自発的に公表したことで、陽性者が出たことが明らかになった。組織委はプライバシー保護の観点から、“陽性者の国や競技名、選手名、年齢や性別も公表しない”としている。驚いたのは、組織委の高谷スポークスパーソンが、類似のケースが生じた場合、“相手チームにも言わないことになっている”と断言したことです。さらに、組織委は濃厚接触者となっても、<試合開始6時間前以降のPCR検査で陰性判定が出れば、試合への出場を認める>という特例措置を設けている。20日になって南アフリカ代表の濃厚接触者は18人と修正されたが、サッカー男子日本代表はもちろん、他の競技の選手だって感染のリスクに怯えながら、疑心暗鬼のまま試合を戦うケースが生じることに変わりはありません」(サッカー関係者)

 濃厚接触者の大部分が選手だという南アフリカは、すでに選手村に入っていた。陽性者判明後、選手は自室での待機が命じられ、食事もスタッフがそれぞれの部屋に運んだものをとっているというが、それまでは濃厚接触者と認定された選手の誰がどこの選手村施設を利用したかは把握ができていないという。

 すでに、その選手村では13日の開村以降、4人の感染者が出ている。昨20日には新たに海外選手1人の陽性が確認された。大会関係者の感染者は1日以降、これで計67人。「安心安全」をうたう「バブル方式」は、聞いて呆れる脆弱さだ。

電車移動を強いられるスタッフ

 南米のある国に代表の通訳兼スタッフとして来日し、人気競技を担当する日系人の関係者が日刊ゲンダイの取材にこう言った。

「練習や競技の際、我々スタッフは選手村に滞在する選手と村内で集合して、貸し切りのバスで会場に移動するスケジュールになっています。問題は、スタッフの選手村までの移動手段。私は都内某所のホテルに宿泊していますが、組織委は移動のバスやタクシーを手配してくれない。相談したら、『公共の交通機関を使って選手村まで来るように』と指示された。実際、電車や路線バスを乗り継いで移動しているのですが、当然、感染リスクが生じる。そんな私がスタッフとして選手に接するわけですから、そこからコロナを選手村の中に持ち込んでしまうことにならないか不安でしょうがない。私が泊まるホテルには、同じような各国のスタッフが何十人も宿泊している。彼らも同じように、電車やバスを使っている。これのどこがバブル方式なのか。東京五輪は大丈夫なのでしょうか」

■毎日検査の落とし穴

 安心安全の根拠のひとつになっている、定期的なPCR検査、抗原検査もその効果が疑問視されている。大会期間中、選手は毎日、唾液による検査を実施。メディアを含めた大会関係者も必要に応じて4日に1回、7日に1回の検査が義務付けられているが、医療関係者はこう危惧するのだ。

「厚生労働省も<病原体検査の指針>として、唾液による検査は<飲食や歯磨き、うがい直後の唾液採取はウイルスの検出に影響を与える可能性があり、避けるべき><目安として、飲食等の後、歯磨きを行った後、最低10分以上、できれば30分ほど空けることが望ましい>と留意点を公表している。選手は担当者が監視する前で唾液を出すことになっているが、その前に歯磨き、うがいをして検体を“操作”する選手が出ないとも限らない。彼らはそれこそ4年に1度の大会に人生を懸けて臨む。陽性判定による試合欠場という最悪の事態を避けるため、それくらいのことはすると考えた方がいい。後を絶たないドーピングがいい例でしょう」

 いずれにしろ、どの会場、どの競技にもコロナ感染者が紛れ込む可能性がある。男子サッカー日本代表が直面している問題は、今回の東京五輪そのものの問題でもある。「試合クラスター」という最悪の事態が現実味を増しているのは確かだ。

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