住職に転身した元プロ野球審判 佐々木昌信さんが語る大谷翔平と松井秀喜の共通点

公開日: 更新日:

故・星野仙一監督からもらった言葉と写真

 子供の時から将来の住職を期待されていた。進学先は、大谷派が運営する京都・大谷大学。高校に続き、野球部で白球を追った。就職活動時に元NPB審判から勧められたのが審判員テストの受験。見事合格し、1992年に入局した。

「審判デビューは95年5月5日、旧・広島市民球場での広島対阪神戦でした。でも、ぜーんぜん記憶がない。それだけ緊張してたってわけです」

 当時はまだ個性的な選手が多かった。

「ヤンチャ、と言うかマナーもへったくれもない。土曜日のデーゲームなんて酒臭い選手がよくいました」

 朝まで飲み、二日酔いのまんま球場にやってきたのだ。

「そうそう。日刊ゲンダイといえば、この写真。右は中日に97年から02年まで所属していたレオ・ゴメス選手。左が僕です。明らかなストライクを見逃し三振したのに、何やら文句を言ってくるから、僕も怒鳴り返した。その瞬間を御社のカメラマンが撮ったそうです」

 ゴメス選手は米メジャー・カブスから右の大砲として入団。故・星野仙一監督の下、4番バッターとして99年のリーグ優勝に大いに貢献した。

「最初は英語、あとは日本語。星野監督は、ゴメス選手の暴走と思ったんでしょうね、後日、御社からわざわざ取り寄せてくれた、と聞いています。ちゃめっ気のある方でしたね」

 星野監督からは、幾度となくジャッジを巡って抗議を受けた。

「判定が変わらないのはわかっているから、ベンチから飛び出てきても『ひとつ貸しておくぞ』と言い捨てて戻る。次の日には『おまえがそう見たんなら仕方ない。気にするな』と、必ずフォローしてくれたものです」

 プロ野球からは足を洗ったが、今年3月から東都大学連盟、さらに群馬県内の高校野球の練習試合限定で審判を務めている。

「高齢化が進み、人材難だとお聞きしましてね。大学野球は東京近辺の球場、平日開催なので、少しでも恩返しをしようと。熱中症に気をつけながら、体力が続く限り頑張りますよ」

 奥さまとは大学時代から交際。今年、銀婚である。

(取材・文=高鍬真之) 

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」