中東初のサッカーW杯開催 “不思議なスポーツ新興国”カタールってどんな国?専門家に聞いた

公開日: 更新日:

 中東で史上初めて開催されるサッカーW杯2022。招致に成功したカタールとはいったいどんな国なのか。丸裸にすべく、中東事情に精通する国学院大学経済学部の細井長教授に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

【Q】どうしてスポーツに力を入れているの?

【A】軍事力が「ハードパワー」なら、自国の文化などで他国を引きつける力を「ソフトパワー」と言います。例えば、韓国ならK-POPが「ソフトパワー」として世界中に影響を与えていますね。カタールは「ソフトパワー」の増幅に力を注いでいて、特にスポーツを通じて国の知名度を高め、世界的な地位を押し上げたいという思惑がある。06年のアジア競技大会の開催を皮切りに、積極的に国際スポーツ大会の招致をしているのはそのためです。19年世界陸上の開催国になったのは記憶に新しいですね。ただ、W杯は招致に買収疑惑をかけられています……。

【Q】「ソフトパワー」に注力する理由は?

【A】カタールは少し特殊な国なのです。中東地域の盟主はサウジアラビアですが、そのサウジと敵対する、アラビア湾を挟んで反対側にあるイランとも戦略的に関係を保っている。小国ゆえに、長いものに巻かれずに独自色を出したいのでしょう。しかし、この外交スタイルのせいで一時はサウジ、エジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦との間で国交断絶危機が起きました。サウジからは「国境沿いに運河を掘って陸路を断つぞ」「国境近くに(将来できる原発の)核廃棄物処理工場を造るぞ」といった、とんでもない脅しを受けていました(21年に和解)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    森保Jは海外からどう見られているのか…W杯のライバル国、ブックメーカーによる意外な評価

  2. 2

    FIFA会長がトランプ大統領に贈った「平和賞」は両者の癒着の象徴…元FIFA職員が史上最悪のW杯抽選会を一刀両断

  3. 3

    【チュニジア】アフリカ予選10戦無失点 堅守が光る「カルタゴの鷲」は日本が苦手とするチーム

  4. 4

    【ポーランド&ウクライナ】1次リーグF組の最終枠は現時点で未定も「ウクライナが有力」と専門家

  5. 5

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  1. 6

    元日本代表DF冨安健洋がアヤックスと契約合意報道…森保Jに朗報も「ガラスの肉体」の期待と不安

  2. 7

    【オランダ】195cmCBファンダイクが大きな“壁”に…タレント勢揃いで「地盤沈下」は今や昔

  3. 8

    Jリーグ得点ランク上位FWが日本代表入りできないワケ…「森保監督の確固たるポリシー」が背景に

  4. 9

    W杯初16強の日韓大会で山本昌邦は「トルシエと選手とのフィルター役をこなした」

  5. 10

    W杯組み合わせに森保監督「非常に厳しい」…GL初戦はオランダと激突、2位通過が現実ラインか

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ