落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった
唯一の例外は就任1年目、04年の開幕投手に川崎憲次郎を指名したことだけ。その年の正月明けに、新コーチ陣が落合監督からゴルフと温泉に招待された。そこで、監督から「川崎でいく」と耳打ちされた。そりゃ、驚いたよ。川崎は01年にFAでヤクルトから中日に移籍して以降、右肩の故障で一度も一軍のマウンドに立っていない。
あとになって、川崎に対する事実上の引退勧告だったこと、故障で苦しんでいる川崎を抜擢することでチームをひとつにしようとしたことなど、監督からいろいろと理由を聞いたものの、「とんでもないことを考える人だな」とのっけから思わされた。2月1日のキャンプインに紅白戦をやったり、一切の補強を拒否したり、就任1年目の落合監督はチームを変えるために手を尽くした。落合監督は言ったことは必ずやる。絶対にブレない。
オレに一任してくれた投手起用だってそう。正直、それがオレにはプレッシャーにもなったが、全面的に任してくれている以上、「下手なことはできない。いい加減なことはできない」という、やりがいと緊張感を持たせてくれた。
非難囂々だった、あの07年の日本シリーズ、完全試合目前での山井大介の交代もそうだった。(この項つづく)