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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

スポーツ界に時代錯誤の事案が多発する根本原因…新聞社後援イベントは限界と危うさを孕んでいる

公開日: 更新日:

 主催紙の独占報道だから、各社は知恵も金も絞って企画を模索した。調べると、萬朝報は徐々に部数を減らし、箱根駅伝が始まった頃には報知の28万部に対し10万部まで落ち込んでいる……金栗はこのへんを勘案して鞍替えしたのだろう。

 新聞社によるイベント事業は欧米でも行われていた。ただ、日本ほど新聞がスポーツに密着している国は他にない。1980年代には、ゲートボールに至るまでことごとく新聞社が絡んでいた。新聞がスポーツ普及に大きく貢献したのは事実だが、限界も危うさも潜んでいる。

 自社イベントゆえにそもそも批判がない。同様の事業を展開する他社も批判しない……。今年の甲子園大会で、ネット経由で不祥事が発覚し途中棄権したチームが出た。どの新聞にも厳しい内容の「記者の目」のような記事はなかった。他にも指導者によるセクハラやパワハラなど、まだそんなことをしているのかと驚くほど、スポーツ界には時代錯誤の事案が多発する。根底にマスコミ主導ゆえの没批判、記者の目の不在、なれ合いがあるのではないか。

 ニューヨーク・タイムズ紙は2年前、時代に即して運動部を解体し、記録は外部委託、問題提起は社会部という体制に移行した。我が国独自の歩みを踏まえればそれを踏襲できないにしろ、新聞の役割が変わりつつあるいま、スポーツ界も変わらざるを得ない。日本テニス協会が広報委員会を解散した。どう変わるのか。

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