海洋冒険大作を上梓 笹本稜平氏に聞く

公開日: 更新日:

「海に眠る財宝を登場させると、どうしても一獲千金を狙うトレジャーハンターの冒険ロマンになりがちですが、そうはしたくなかった。しかし、宝をそっと保存しておくだけ、というのもきれいごとかもしれない。そこで、学問や“血”のために沈没船を追う主人公と、あくまでも金を狙うトレジャーハンターとの対立軸を設けて物語を進めていきました」

 実は、山よりも海を舞台に描く物語の方が難しいと著者は言う。
「山の場合、その山の高度やお国柄などさまざまな要素によって表情が変わります。しかし、海は圧倒的スケールを持つものの、ひとたび船でこぎ出せば、代わり映えのない一面の“水”。荒れてもらわないと小説にならないが、荒れっぱなしでもお話が進まない。そこで、400年前のご先祖という時間のベクトルを加えることで、躍動感を持たせることができました」

<改めて海の懐の深さを感じる>

 登場人物も実に魅力的だ。
 真佐人の師匠である水中考古学教授、アレグリア号を歴史遺産にするというビジネスを持ちかけるスペイン人実業家、そして投資ファンドと組むトレジャーハンター。海に命を懸ける熱き男たちの物語に、魂を揺さぶられる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」