「禁断のスカルペル」久間十義著

公開日: 更新日:

 物語の主人公は、総合病院で研修医として働く女医・東子。夫・拓馬と一人娘の絵里香にも恵まれ幸せな日々を送っていたが、指導医と不倫関係になり、離婚を迫られ子とも引き離された。失意の東子は東北のとある病院に流れ着く。

 そこで目にしたのは、陸奥哲郎という医師の卓越した手術の技。医師会にも所属せず、単身米国で腎移植手術の世界的権威のもとで修業した経験を持つ陸奥の手腕に触発された東子は、彼の元で腕を磨くことを決意する。

 そんな東子に陸奥は、病気で摘出し捨てられる運命だった腎臓を、病変部分を取り除いて腎移植が必要な患者に修復腎移植を行っていることを明かす。それは今の日本では公には認められていない禁断の手法だった。果たして、目の前の患者を救うための禁忌の手術は許されることなのか――。

 日経新聞掲載時から大反響を呼んだ話題作。運命に翻弄される東子の選択を描きながら、医療を取り巻く問題もあぶりだしている。(日本経済新聞出版社 1800円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」