日本語のオノマトペ数は2000語以上!

公開日: 更新日:

「オノマトペの謎」窪薗晴夫編 岩波書店 1500円+税

 本書はこんなフレーズから始まる。「イギリス人は動詞で泣く、日本人は副詞で泣く」。はて、どういうことか。cry、weep、sob、blunder、whimper――いずれも「泣く」を意味する英語の動詞。対して日本語では、ワーワー泣く、メソメソ泣く、クスンクスン泣く、オイオイ泣く、シクシク泣く――と同じ「泣く」という動詞にさまざまな副詞を付してその状態を表す。なるほど。

 このカタカナの副詞が、本書の主役、オノマトペ(擬声語、擬音語、擬態語)である。オノマトペは日常の会話でもよく使うし、もしマンガやアニメからこのオノマトペをなくしてしまったら、なんとも味気ないものになってしまうほど不可欠な存在だ。とはいえ、事改めて「オノマトペとは何か?」なんてことは、普段は考えもしない。

 ということで、こんなタイトルの本を見るとつい手が伸びてしまう。なんとはなしに、日本語は世界の中でもオノマトペが豊かな言語だと思っていたが、本書は、もっと豊富なオノマトペを持つ言語があることを教えてくれる。日本語のオノマトペの数は2000語以上だが、お隣の韓国・朝鮮語は5000語以上、タミル語、ヨルバ語となると無制限というから驚き。また、「わんわん、ぶうぶう、だっこ、ねんね」といった赤ちゃん言葉とオノマトペがなぜ似ているのかを音声学の面から探ったり、外国人は日本語のオノマトペを使えるのかを調べるのに、オノマトペの豊富な国の人とそうでない人、あるいは日本語初学者と上級者とを比較したり、「モフモフ」というオノマトペがいつから使われるようになったのかといった、なんとも興味深い報告が並んでいる。

 なるほど、とうなずくことばかり。それでも、オノマトペの研究はまだ緒に就いたばかりだという。それだけに未解決の問題も多いが、新しい学問特有の新鮮な息吹が感じられる。 <狸>

【連載】本の森

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃