「19歳のポルノグラフィ」塩野秋ほか著
主人公の真理はセーラー服姿のままプールに浮かんでいた。その姿を2階の美術室の窓から身を乗り出して見ていた満川平良は真理を美術室へと誘う。濡れそぼったまま美術室に入っていった真理は平良と高校卒業後の進路などを話しながら氷砂糖(融点186℃)をなめる。やがて2人は肌を寄せ合い、初めての行為に埋没する。そして真理はつぶやく。「さっきまで、平良と私はひとつの生き物だったのにいまは分離している」と。やがて廊下に足音がして、2人は手をつないで、窓からプールに飛び込む。(塩野秋著「融点186℃」)
東北芸術工科大学芸術学部文芸学科の3年生と2年生の女性が企画、編集、執筆に取り組んだ9編の短編ポルノ小説集。 (藝術学舎 1200円+税)