「生きる意味」アルフレッド・アドラー著 長谷川早苗訳

公開日: 更新日:

 人はみな、自分のものの見方で行動が決まる。一人っ子で母親に甘やかされて育ったある弁護士は、子供時代に女子にバカにされて、女子から完全に距離を取った。そして恋愛や結婚がうまくいくという妄想にふけり、母親を性的願望の対象と見るようになる。

 このエディプスコンプレックスは本来のものではなく、母親によって人工的につくられたものである。社会人になってからも、知らない人を避けるようになった。彼の人生の捉え方は「世界が勝たせてくれないから出ていかない」というもので、その行動原理の中にあるのは「理性」でも「コモンセンス」でもなく、「個人の感覚」である。

 フロイトらとともに心理療法を確立した心理学者の名著の邦訳。

(興陽館 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」