キャッシュレス時代の新たな主役は「暗号貨幣」

公開日: 更新日:

 キャッシュレス時代を象徴する「仮想通貨」。全世界での時価総額は数十兆円にのぼり、その種類も4000種以上あるといわれる。そして、仮想通貨の時価総額の8割を占めているのがビットコインだ。

 しかし、中村宇利著「『暗号貨幣』が世界を変える!」(集英社 1600円+税)では、ビットコインの消滅はもはや時間の問題であると指摘。そして、従来の仮想通貨に取って代わる、完全暗号を用いた暗号貨幣“クリプトキャッシュ”の全貌を明らかにしている。

 ビットコインでは、取引記録の伝達や台帳(ブロックチェーン)への書き込みなどに各種の暗号を使っているが、そのほとんどが1980~90年代に考案されたデジタルマネーの仕組みを踏襲している。とくに、“公開鍵暗号方式”の欠陥をそのまま内包しているのが問題だと本書。当事者間の通信に何らかの方法で攻撃者が入り込み、情報を盗み出す「中間者攻撃(MITMA)」を防ぐことができないのだという。

 そこで、クリプトキャッシュである。その本体は、英数文字などからなる記号列で、誰が、いつ、いくらの金額で発行したかなどの情報を暗号化したもの。紙に印刷すれば紙幣になり、コインに刻印すれば硬貨もできる。記号列を取引相手に渡せば、その場で決済が完了する。そして、発行された記号列は1度しか使えず、更新されていくのがポイントだという。

 すでにいくつかの国で法定通貨のデジタル版に利用する計画が進み、民間ベースでもアメリカ共和党の支持団体などが独自の暗号資産をクリプトキャッシュを利用して発行する予定だ。

 ようやく日本でもキャッシュレス化が進んできた。新しいお金の形と安全について知りたいなら必読だ。



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁