「金庫番の娘」伊兼源太郎著
藤木花織は10年勤めた会社を辞め、父親が長期間、私設秘書を務めていた衆院議員、久富隆一の財務秘書となった。だが、久富の要望で地元から上京した後援会のトップの八尋に「こげん小娘になんができっとか」とばかにされて落ち込む。その日、久富は新聞記者の監視をかいくぐって、ニューオータニで党の他の派閥の長、馬場と会談をする。
翌日、久富は秘書たちに「みんな、国盗りだ」と決意を伝えた。背筋がぞくっとした。花織の頭の中で、後援会長の上京、馬場との会談などの出来事が、すべてつながった。久富は自分の派閥のメンバーを招集し、記者会見で「総裁選に立候補します」と宣言する。
新米の政治家秘書の権力との闘いを描く政治小説。
(講談社 1700円+税)