「株はもう下がらない 誰も止められない世界金融インフレの暴走」朝倉慶著/ビジネス社(選者:稲垣えみ子)
かくして「株価は経済の結果ではなく、政策の中核目標」になった。株価暴落はなくなり、だがその副作用として、刷り続けた通貨の価値は減り続けインフレが止まらない。それが世界の「新常態」である。
ところがそんなさなか、我が国ではあろうことか景気対策と称して政治家が歳出拡大を打ち出し、インフレに苦しむ国民はそれを歓迎。だがばらまかれた円の価値はさらに下がってインフレは加速、国民生活はどんどん苦しくなり、一方で政府は税収も名目GDPも膨らみ(実態は物価が上がっただけ)景気が良くなったように見せられるおいしい状態。国民はそれに気づかずさらにばらまきを求め、政治家はそれに応え、かくして円の価値はどこまでも減り「現金は静かに燃えていく」。破滅から逃れるには現金以外の資産、株や不動産や金を持つしかない--というのが本書の趣旨である。
私はナルホドと目がさめる思いがしたが、現金以外の資産を持たぬ者は破滅という究極の格差社会で生き残ったとて、ハッピーエンドとは言えないだろう。そんな世の流れを変える政策提言も氏はしているが、私はここには説得されなかったので星半分減らした。だがこの恐ろしい氏の分析そのものは知る価値が十分あり、専門家の反論あらば論戦を心から見たい。 ★★半

















