著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

胃がん手術 「治る病気になってきた」というが水増しでは

公開日: 更新日:

 その内視鏡手術が、手術全体の半数近くを占めているのです。新規患者数をもとに計算すれば、4割近くが粘膜内がんだったことになります。我々がイメージする“本物の”胃がん患者は意外と少なく、実は年間8万1000人程度にとどまります。つまり、新規患者数でも肺がん(約11万3000人)にトップの座を譲っているというわけです。

 一方、2014年における胃がん死亡者は、約4万8000人でした。この数字は過去数年間、あまり変動していません。粘膜内がんで亡くなる人はほとんどいないため、胃がん死亡者のほぼ全員が“本物の”胃がんと診断された患者ということになります。つまり、“本物の”胃がん患者は、何カ月後か何年後かに約6割の確率(4万8000人/8万1000人)で亡くなる計算になるのです。

「胃がんは治る病気になった」と言われるようになりましたが、それは粘膜内がんを含めた、結構水増しされた数字に基づく話。本当はまだかなり分が悪いのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較