著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

BMIと心血管疾患の関係では「肥満」も「痩せ」も両方危険

公開日: 更新日:

 BMIと脳卒中心筋梗塞などの心血管疾患との関係というと、肥満の人が危険と思われるかもしれません。

 しかし、これまでの研究結果は、単純に肥満だけが危険という結果になっているわけではありません。

 実際の研究結果を見てみましょう。2013年に日本を含むアジア人100万人以上を対象とした大規模な研究で、BMIと心血管疾患の関係が検討されています。BMIを2.5刻みに分割し、心血管疾患のリスクが示されていますが、22.5~24.9のリスクを1とした時に、25~27.4のリスクが1.09倍、27.5~29.9で1.27倍、30~32.4で1.59倍と、肥満傾向が強くなるにつれて心血管疾患のリスクも増加することが示されています。

 しかし同様に、痩せにおいても、BMIが17.5~19.9で1.06倍、15~17.4で1.19倍、15未満で2・16倍と、リスクが高まることが示されており、15未満の重度の痩せは、30以上の重度の肥満よりリスクが高くなっています。

 また心筋梗塞、脳卒中に分けて分析しても同様で、肥満だけでなく、痩せでもそれぞれのリスクが増加しています。

 世の中では肥満ばかりが取り上げられますが、肥満同様、痩せも心血管疾患のリスクで、さらに最もリスクが高いグループは、BMI15未満の痩せのグループであることが、日本人を含む大規模な研究で示されているのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  3. 3

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 4

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  5. 5

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  1. 6

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  2. 7

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

  3. 8

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  4. 9

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  5. 10

    高市政権の「極右化」止まらず…維新が参政党に急接近、さらなる右旋回の“ブースト役”に