著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

余命1カ月で退院 やりたいことをやり切り充実した半年を過ごした

公開日: 更新日:

 私たちは患者さんが自分で移動したり、排泄、食事、入浴といった日常生活動作(ADL)をできるだけ保てるよう、薬の調整や輸血を実施。しかし、そうはいっても、症状が進行すればADLの能力は落ちてきます。「自力で排泄ができなくなったら終わりだ」という、患者さんの衰えていく自分を厭う気持ちや不安に耳を傾け、それらを少しずつ前向きにとらえられるようにお話しし、ポータブルトイレやおむつの提案をしていきました。

 その上で病院との連携を密に実施し、病院の医師の説明と同じ説明をできるようにしました。あらゆる可能性を考え、まさに患者さんだけでなく、ご家族、病院、その他スタッフとの二人三脚で療養を進めていきました。

 このときばかりは在宅医療の総合力を試されたというか、患者の生活をまるごと支えることとはこういうことなのかと、実感したのでした。

 退院時当初は余命1カ月と宣告されていたのですが、実際は6カ月。年末年始をはじめ、2月初午の行事、娘さんの婚約者との顔合わせに続く4月の結婚式の会食、5月の端午の行事と、娘さんに神主の仕事をすべて引き継ぎ、患者さんが当初済ませておきたかった行事やことがらもすべてやり切り、旅立たれて行かれました。

 在宅医療が患者さんの大切な残り少ない生活だけでなく、未来もまるごとお世話することができた。今も強く印象に残っている患者さんです。

【連載】最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  2. 2

    石田ゆり子ブームは終わらない? ベリーショートに賛否、脱「奇跡の50代」でも人気加速

  3. 3

    TOKIO国分太一「コンプラ違反」秘匿も次々に“セパ報道”で窮地に…復帰は極めて困難な道のりに

  4. 4

    作新学院・小針監督の「不適切指導」に私が思うこと 批判するのが“無難”かもしれないけれど…

  5. 5

    国分太一「すぽると!」降板は当然…“最悪だった”現場の評判

  1. 6

    巨人阿部監督 グチるくらいならいっそ「4番・坂本勇人」はどうだろう…“進退の決断”含めた4つの理由

  2. 7

    国分太一コンプラ違反で「周囲が感じていた異変」…過去にはガングロに"変身”して問題起こした有名人も

  3. 8

    田原俊彦「真ん中の足」「カッチカチ」下ネタ連発で退場危機…フジ問題でも“おまいう発言”で大ヒンシュク

  4. 9

    フジ再激震! オンカジ逮捕「ぽかぽか」演出担当社員が豪語していた夢との落差にア然

  5. 10

    長嶋茂雄さんは松井秀喜の背もたれをガーンと蹴っ飛ばし、「巨人の4番道」を説いていた